◆ 業務命令ですか？

昼過ぎ、何気に入ったＰＣ部屋で上司に、

　『弁当作る？』

とか、言われる。

　ダレの？　アンタの？　何のために？

そもそもが、自分の昼飯の弁当すら作らないわしにだ。
言うこと自体が間違ってるっちゅ～ねん。

しかもアンタ愛妻弁当を毎日持参しとんだろ？
わしアンタの嫁に刺されたくないっちゅ～ねん。

と、数秒でイロイロ妄想したが…。

おぉ～♪　今運動会シーズンなんで弁当商材売りまくってるな。
その販促物に弁当置くってことか？
と、気づいた。

ってことはだな。
ど～でもいい？　弁当ではダメな訳でだ。
キャラ弁とか？　凝ったかわいらし～弁当が良いのだな？

と、次にまたイロイロ妄想し、

　『何言うとんねん？　ちびの弁当ですら冷食しか入れんわしに言うなっ！』

と、返事した。

ちょうど横で聞いてた課長が、

　『冷食でいいんだよ？　こんなに簡単に作れます～♪　ってので』

とか言う…。

がな？
子供の弁当ってな？

　調理時間３分　詰める時間３０分

って知ってるのか？

　『ガキの弁当は手間かかんねん、嫌ぢゃ』
　『何で？』
　『見た目重視やから』
　『でもそんなかからないでしょ？』
　『課長…調理時間は３分でね？　詰める時間が３０分ですよ？　ダレがそんな弁当作りますねん？』
　『作ってないの？　ちびちゃんに』
　『うちはそんな弁当作りません～っ！』

地味に墓穴掘ったよ～な気がするが…。
まぁ、邪魔臭いこと頼まれるよりえぇしな。

きっぱり、

　『嫌ぢゃ、ぼけっ！』

と断った後、続きをいろいろ話する。

　『あれってそんなに時間かかるの？』　←まだ言う課長
　『かかるんですよ、のり一つ切るのにもですね？　技術がいるんですよ』
　『ど～して？』
　『課長…普通に○を紙に書いてもね？　きれいに○書けます？』
　『うぅ～ん…』
　『それをぱりぱりの、すぐにぽろぽろになるのりで、はさみで切るんですよ？　相当な技術が必要でしょ』
　『紙でも難しいもんね…』
　『しかも、このキャラの耳は何色だから…この食材で…と細かく切ってくんですよ？』
　『目とか？　鼻とか？』
　『場合によっては髪の毛とかリボンとかもです』
　『…３０分で終わらないんぢゃ…』
　『だから邪魔臭いし技術がいるって言うてんですよ』
　『そっか…じゃ～他の人に頼んでも無理かもね…』
　『業務命令とか言われたらキレますね』
　『だよね…それが趣味とか言う人でないとダメかもね…』

やっと判ったか…。

で、こんな話をした後で、何気に思った。

　弁当、何日展示する気だ？

と…。

生ものでっせ？　いくら冷蔵ケースに展示したとしてもだな。

　持って２日

くらいぢゃね～の？

食う食わないの問題でなくだな。

　カビ生えてきそ～やんっ！

まだ暑いぞ？

食品売ってて、賞味期限切れにクソうるさいうちの会社でだな。
カビ生えた弁当は…あかんやろ～。

まぁ、最終的に弁当展示はなくなったので問題はないけどさ。

　…でも何日展示する気やったんやろ…

未だ気になったままのわしは、何だかすっきりしないままです。
が、あまりしつこく聞くと、

　『やっぱ作る？』

とか言われそ～なので…。
このまま黙っとくとします…。